福本先生+佐藤先生の講演会レポート・秀峰大盛りその3


質問コーナー終了。
そして、垂涎の、先生たちお絵描き実演コーナーへっ…!!


最初に佐藤先生が実演。
福「シュウホウは絵が上手いからみんなよく見といた方がいいよ^^」
何度もシュウホウ自慢をする福本先生になごむ。
絵が上手いからっ…!(元)うちのシュウホウはっ…!!

絵を描く時にどうしても顔を近づけてしまうので、シュウホウの頭が映ってしまい手元の絵が見えない事態勃発w
福本先生が「見えない!もっと下!」と指示を入れ、会場はあたたかな雰囲気に。


佐藤先生は左利きということで、右向きの顔の絵。ちょっとでもマンガ絵をかじったことのある方は知ってると思いますが、右利きの人は左向き、左利きの人は右向きの絵が描きやすい。


鉛筆でものすごくシンプルに下描きをする佐藤先生。目なんて(音楽記号の)フェルマータレベルのアバウトさ(ほんと、○と線一本のみだった)
見た感じ、せいぜいネームの絵ぐらいに、ほとんど描き込みなし。
さらさらーっと、ものの十数秒くらいで、細かい部分はへのへのもへじに気ぃ持ったくらいの「ブラックジャックによろしく」の斉藤くん下描き完成。あれ?落描き…?
下描きというよりは「アタリ線」ってくらい。


佐藤先生はそんなアバウトな下描きに、ぐいぐい迷い無く極細マッキーでペンを入れていく。迷い線なんてものはゼロ。
その様はさながら自動筆記のよう。実は下にトレス台があってちゃんとした絵を透かしてトレスしてんじゃねーのくらいの勢い。
髪の毛の部分にカケアミをさらさら入れる(この辺りでかなり興奮している私)。下描きしてあったのは顔だけだったんだけど、白衣の襟元をササッと書き加えて、アッと言う間に見慣れた斉藤くん完成。


そのあまりの速筆に司会さんも私たちも驚くが、福本先生は「普通じゃないですか。別に早くないです」としれっと発言。プロすげええええ


佐藤先生は眉から描いてました。リアル寄りの絵を描く人は、眉骨の場所を明確にするために眉から描く人が結構いるんだよな…と思いつつ、福本先生の作画を見ていたら、福本先生も眉から描いていた…
(笑) いや、ここは笑うところではないわ!


福本先生が絵を描いてる時は、佐藤先生が解説。
しかし相変わらずの無口っ振りなので司会さんが四苦八苦してコメントを引き出しているさまに全俺が泣いた。


司「福本先生の絵の特徴は?」
佐「アゴ…(←司会さんが無理矢理引き出したコメント)ですかね(笑)
あとね、誰にも似ていないというところ。凄いと思います」


シュウホウがいいこと言いました。みんなメモれ。

ていうかね…福本先生が絵が下手だとか…好きとか嫌いとか…言い出したのはどこのどいつだ出て来やがれってんだ…ていうかね。
どう見ても福本先生絵が上手いですから。もうね。ものすごい説得力ですよ、直に描くところ見るって。


描かれた二枚のサイン入り神絵は抽選に当たった幸運な者たちの手に。もちろんくじ運の悪いことで定評のある私に当たるはずもなく、涙をのみました。


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さてここから、その他拾いそびれたシュウホウ語録を思い出して書いていきます。


医療漫画も海保漫画も、自分が描こうと思って描いたわけではない


佐「編集部が『医者もの描かない?』『海保もの描かない?』と言うので描きはじめたので、自分で描きたいと思って描きはじめたわけではありません」


これは一読者として驚きの発言でした。
司会さんもおっしゃってましたが、そういう風に始まった漫画ってどうしても「やらされてる感」が出て来てしまう気がします。それが「海猿」や「ブラックジャックによろしく」にはまったく感じられない。
しかし、「海猿」も「ブラよろ」もどちらも非常に難しい題材です。そういった話を熱い展開で読ませるためには、自分の脳がそれ一色ではかえって困難なのかもしれない。ある程度の距離感をもって、クレバーに「情熱」を表現できるスキルが必要なんですね。
そして佐藤先生にはその才能があったと。カッコイイ。カッコ良すぎる。


そのほかにも、シュウホウは自分の作品にあんまり執着してない発言連発。


自分の作品をほとんど読み返さない(ので内容を忘れてしまう)

そ、それでああいう作品本当に成立させられるんですかっ…!と小一時間問いただしたい


●(気に入っているキャラクターなどを尋ねられて)
佐「忘れちゃうんですよねえ…^^


佐藤先生の描くカッコいいキャラと言えば小児科医の先生!と脳内で即回答した自分涙目
確か「悪いキャラクターは描いていて楽しい」という話題だったと思う。
「正しい人ってつまんないじゃないですか」とも言ってた気がした



カイジ実写化の話題から、実写化、ドラマ化などについても。


●実写化などについては、基本丸投げで口は一切出さない。放送されてもほぼ観ない
(実写化のスタッフから)脚本をもらっても、開きもしない


ちなみに福本先生は、「カイジ」の脚本にほんのちょっと「こうした方がいいんじゃないか」ということは言ったそうで。
佐藤先生のあまりの投げっ放し振りに会場も私もざわ…ざわ…


佐「でもね、映画化って意外と儲からないんですよね^^」
佐「『海猿僕には200万くらいしか入ってきませんでした^^」


ちょwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwww
ぶっちゃけすぎwwwwwwwwwwwwwwwwwww
好きだぜ…おまえのそんなところ…

海猿』公開当時は原作本が本屋でめっちゃ平積みになってたから、もちろん売り上げには貢献してると思いますw


●漫画関係の職しか経験していないので、実体験に乏しい


前のレポートに書いた「映画や演劇や小説も見ないとダメ!」の話題にもつながりますが、その辺りで編集サイドに色々言われたりもしていたらしい。

佐「取材でお医者さんに話聞いたりはするようになったんですけどねー」
それでよくあんな作品が描けるなあ…と本気で感心。
でも、自分が過去に編集に言われた言葉などは作品に反映しているとか。
例えば編集さんとのこんな会話。


佐「この漫画のどこがダメなんですか!?」
編「君がダメ」





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そんな感じで…

佐藤先生は、見た目は非常に柔和でやさしげな方(実際、企画者さんが「佐藤先生は本当にやさしくていい方なんですよー^^」とおっしゃってた)でした。
でも、ご自身の作品に関しては、作風からはうかがいしれないクールな視点が感じられて正直意外でした。
でも、このクールな視点があるからこそ、「熱い物語」を他人が見て面白くなるように描けるんでしょうね。
資料の集め方や書き方なんかも最初割と適当だったりとか(笑)それで良く描けるなと逆にびっくり。たぶん本当は綿密に取材されていて、謙遜してそうおっしゃってるんだろうとは思うんですけど。

自分の作品について突き放すような発言も多々ありましたが、ところどころに「ああ、やっぱりこの人は(いい意味で)頑固な創作者なんだな」と感じられる部分があって、いっそう佐藤先生のことを好きになりましたし、今後どんな作品を描いていかれるのか注目していきたいと思います。



新刊今日あらためて読みました。またグラグラさせられました。ああ、あの講演会での柔和な微笑みとこの作品が、重なるような重ならないような不思議な感じ。
この話がどんな終わりを迎えるのか、少し怯えながらも楽しみに待っています。