福本先生+佐藤先生の講演会レポート・秀峰大盛りその2
新ブラックジャックによろしく 5(移植編) (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: コミック
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司「『新ブラックジャックによろしく』は現在中断していますが、連載再開はいつぐらいになりそうですか?」
佐「来月の中旬から始まる(作品が掲載される)ことになってます。…でも、実はまだ描いてないんですよね…」
司「えっ(笑)それはちょっとまずいんじゃ…(*講演会は25日に行われたので、実質2週間くらいしかない)」
佐「はい、編集部にも『2週くらい再開ずらす?』って言われたんですけど、それはカッコ悪いので…何とかしたいと思ってます」
腎臓移植とドナー 〜移植編について
司「現在、斎藤先生が自分の腎臓を赤城さんに移植するという話になっていますが、どうしてこういう流れになったんですか?」
佐「精神科編をやったので、あとはもう移植しかないかなと。なんで腎臓移植にしたかと言うと、腎臓は(片方は)無くても生きていける器官なんですよ。
佐「普通は移植は亡くなった人からだけど、腎臓は生きている人から移植できる。生から生への移植が可能なんです。提供されるだけでなくて、生きている人の意志が問われてくる」
とても真面目な話です。
佐「でも、考えてみると主人公がドナーになるって変な話かもしれないですね」
福「アンパンマンみたいな感じ?」
……福本先生……
「僕の腎臓をあげるよ!」ってことですねわかります
司「佐藤先生は、医者が自分の腎臓を患者に提供するという行動についてはどうお考えなんですか?」
佐「僕は、主人公が間違っていると思って描いてますので…」
司「あ、間違っていると」
佐「間違っています。医療の公平性という点から見ても、自分の腎臓を提供するっていうのは間違いだと思います。医者のやることから外れていると」
間違っている、ということに関しては、力強く断言していらっしゃいました。
司「(主人公に対して)かなり、厳しいようですが…」
佐「僕ね、この主人公嫌いなんですよ(笑)いつも、何でこんなことするのかなあ…と…イライラします。僕はだいたい、主人公をそういう風に描いているんですね…」
言っちゃった!!主人公嫌いって言っちゃった!!!
確かに、『ブラよろ』続けて読んでると、主人公に対して「おまえまたソレかよ!」って突っ込みたくなることありますね…
佐「本当に、(主人公は)面倒くさい人だなあ…と思います」
司「でも、連載初期の頃の斎藤くんは、結構明るかったりして、ギャグっぽい部分もありましたよね」
佐「初期は、斎藤先生が日記を書いているように書いてるんですよ。それが何だか、僕が自分の日記を書いてるみたいになっちゃって…その時の自分の精神状態に影響されて、変わってきたってところがありますね」
会場全員が「え、佐藤先生、今精神状態だいじょうぶなんですか…?」と思った瞬間。
「面倒くさい人だ」というのもかなり強調していらっしゃいましたw
司「(物語の展開は)今は五合目か、八合目くらいですか?」
佐「もう終わりたいんですけどね…話が長くて…(笑)一年くらいで終わりたいと思ってるんですけど、でも、一年半くらいになっちゃうかな…」
おお、まだかなり続きそう…いったいどんな展開になるのか、楽しみです。
福「(物語の終わらせ方という話題で)シュウホウは色んなものが描きたいんじゃない?単純にエンドマークを付けるとかしたくないんじゃないかな」
佐「うーん… 僕、自分がよくわからないです…(笑)」
佐藤先生の神業的ぶった切りコメントが炸裂した瞬間であった。
来場者からの質問いくつか
ーお2人の代表作には偶然「アカギ」という名前の人が出てきますが(*腎臓移植編で大きく登場する赤城さんと、『アカギ』の赤木しげる)、名前の由来やモデルとなった人物は居るのか?
佐「あー、これは名前の由来がありまして…アイスで赤城乳業ってのがありますよね、そこからとってきたんですよ」
!!!?????
佐「あそこのアイスって、パッケージはすごく派手なんですよね。でも食べるとあんまり…っていうところが」
ちょwwwwwwそれ赤城さんに対する問題発言wwwwww
でも、何だかとっても腑に落ちました。
(*赤城さんは周囲の女性同僚に化粧濃いとかやっかまれるタイプの美女キャラです)
福「俳優の赤木圭一郎からです。カッコイイなあ…と思って… しげる、は…なんか自分の中でおさまりがよかったんでしょうね(笑)」
ちなみに、「こち亀」の中川さんも赤木圭一郎が名前の由来だそうです。全然似てないキャラなのに面白いですね。
この質問、「近代麻雀漫画生活」のいのけんさんがなさったものです。会場で最初聞いたときは何じゃそりゃ!と思いましたが、結果的に、これで聞かなければ一生封印されていたかもしれない佐藤先生の意外にアバウトかつフィーリング重視のネーミングセンスが暴露された形になり、個人的にはグッジョブ質問だったと思います…乙!
「麻雀漫画をまた描く気はありますか?」ってのも、回答是非聞いてみたかったw
この辺りで、「ああっ…佐藤先生に質問したい…したい…」という情熱が噴き上がる私
普段こういった場では質問などする勇気もなく、また気のきいた質問をする脳もないので、ひっそり息を殺しているのが常なのですが、お二人のお話を聞いているうちに1個質問を思いついてしまったので、異常にソワソワしはじめる
その間に他の人の質問が。
ー医療現場を描いた作品ということで、資料集めなどが大変だと思うのですが、その辺りはどうされてますか?
ああそれーーーー!!私も聞きたかった!!
ああいうタイプの作品だとさぞかし大変で大わらわで(ry
佐「手術の場面なんかは、最初(何の資料も)見ないで描いてました」
ええええええええええええええええええええ
どうやったらそんなこと出来るんじゃああああああああ
い、意外にアバウト…!!!ああいう作品ってさぞかしそういう部分に厳密できっちりやってるもんだろうと思ったのに…
佐「そのうち、医療関係のイベントに行って…こう、お医者さんをナンパするんです。で、お話を聞かせてもらったり…手術するところを見せてもらったり。あれって意外と簡単に見せてもらえるんですよね」
終始「取材にそんな苦労とかしてないですよー」っぽく語っていらっしゃったが、たぶん謙遜で、本当はきっちり調べていらっしゃるんだろうと思います…
ここで遂に、ありったけの勇気を出して質問した…!!!!
ー『ブラックジャックによろしく』の主人公の前に、アルツハイマーにかかって、「もう自分が自分でいられないから自殺したい」という、53才くらいの、赤木しげるが患者として現れたら、主人公はどうすると思いますか?
佐「えー…僕は福本先生とちょっと意見が違うんですが…」
佐「アルツハイマーにかかって、自分が自分でなくなる…、でも、僕は病院に行って、いわゆる植物状態になった患者さんに何度かお会いしたことがありますけど、植物状態でも、嬉しいことがあれば笑ったり…知らない人が来れば嫌な顔をしたり、するんです。感情があるんですよ。人間としての人格が残っているんですね」
佐「だから、自己決定権というわけじゃないですけど…自殺はよくないと思っています」
福「俺だって自殺はよくないと思ってるよ!!(笑)」
(笑)ですよねー。『天』は「自殺したかったらしていいよ」という話じゃないですもんね。
佐「まあ、主人公がね、「それじゃあ自殺しましょう」とは、研修医の立場では絶対に言えないですよね(笑)」
ありがとうございましたっ…!!!
司会者さんに「いい質問でしたね」って誉められたお…!!普段誉められることのない人生なので、これはうれしい
更に、講演会後に企画者さんから「福本先生が『あの質問、気が利いててよかったなー」っておっしゃってましたよ^^」とお知らせいただき、感謝…ただ感謝…
でも、佐藤先生がいっぱい喋ってくれたのが一番嬉しかった…!!本当にありがとうございましたっ…!!
まだもう一回続く。