福本先生+佐藤先生の講演会レポート・秀峰大盛りその1
新ブラックジャックによろしく 3(移植編) (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/12/01
- メディア: コミック
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先日、神奈川県の女子美大相模原キャンパスにて行われた、『アカギ』『カイジ』の福本伸行先生と『海猿』『ブラックジャックによろしく』の佐藤秀峰先生の講演会でのお話などを、忘れないうちに書き残しておきたいと思います。
会場には福本先生のファンの方が多かったようで、現時点で色んなブログ等であがっているレポートも、福本先生メインのものが多いような気がします。
なので、私はあえて佐藤先生を中心にレポートを書いていきたいと思います。
(注*各先生方・司会者の台詞は、いずれもおぼろげな記憶に基づいて書かれており、またテキストとしてわかりやすく読んでもらうために複数の台詞をつなげて編集したりしておりますのでご了承ください)
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講演会は、清潔な雰囲気の大教室にて行われました。席数400人+立ち見の方で450人くらい?ほとんどが女性で、男性はせいぜい…15人くらいだったかなあ。
大きな拍手に迎えられ、司会者の岩見さんと両先生が入場。
福本先生は真っ赤なインナーに黒いジャケット、明らかにドリームキングダム帰りとしか思えないリングのアクセサリー。かっこよすぎます。
佐藤先生は大きな帽子に、黒のトップにストライプのボトム、カジュアルな出で立ちでした。
福本先生は言わずとしれたイケメンですが、佐藤先生は「最近太ってしまった」そうで、まんまるい柔和な感じのお顔がキュートな方でした。私の前に座っていたお嬢さん方も、「かわいいー^^」「かわいいー><」っておっしゃっていた。
さて、「この講演会、なんで福本先生と佐藤先生の組み合わせなの?」と思われた方も多いんじゃないでしょうか。
実は、佐藤先生は福本先生の元アシスタントだったというつながりが…!
これは知らない人の多い新情報でした(佐藤先生のwikipediaには高橋ツトム先生のアシだったことしか書いてありませんでしたので、書き足しておきました)。
そんなわけで、福本先生は、佐藤先生のことを「シュウホウ」と呼びます(私ずっと「ひでみね」さんだと思ってましたすいません)。
喋りなれている感じの福本先生の横で、ものすごい緊張している感じの佐藤先生。
講演会始まったばかりの時点で
佐「帰りたいです><」
帰らないでくださいw
マイクで喋るのにも慣れていらっしゃらないらしく、喋りながらマイクが上下してしまい、声が大きくなったり小さくなったりしているのを固唾をのんで見守る観衆。
佐「そのうち慣れてくると思うんで…」
慣れるのにすごく時間かかってらっしゃいました^^
このあたりで、佐藤先生のキュートさにやられはじめる私
しかし、佐藤先生の魅力は、かわいらしい外見だけではないのです…
とにかく すさまじいまでのスルー能力
福本先生が饒舌に語り、うまい具合に司会者さんが話を振っても
ほぼ 全スルー
「ああ…」
「僕はあんまり…そういうのないですね」
「見ないですね」
「(福本)先生と同じです」
話をふくらませることを一切許さない…!!!!
その妥協なきマイペース振りに全俺が泣いた
(*けなしているわけではなく、本当に「いい!」と思ったのです)
もし佐藤先生がエロゲのキャラだったら落とすのはお釈迦様でもむずかしい そんな空気がひしひしと伝わってくる…
司会者の岩見さんは素晴らしく堅実な司会振りでいらっしゃったのですが、その岩見さんが送る正統派パスを柔和な笑顔で華麗にスルーする様に胸キュン
たまにたくさん喋ってくださると、お得感が感じられる不思議
「緊張しているから喋れない」というよりは、もともとああいう感じの方なのかなあ…と思いました。自分が自分が!という表面的な自己顕示欲の薄い方。
漫画を読んでいると、その作者の人となりを知らない時点では、どうしても主人公のキャラクターを作者と重ねてしまうことってあると思うんです。
「ブラックジャックによろしく」の主人公・研修医の斎藤くんは、真面目で無謀で…いい子だけど周囲は迷惑だったりするキャラ。かなり熱い子です。
でも佐藤先生は、福本先生に初めて会った時に「覇気がない」と説教されてしまうくらいの、なんというか…とらえどころのない感じの方だったようです。
フロムAからアシスタントに応募〜デビューまで
福本先生が『カイジ』を始める前に、フロムAなどにアシ募集を載せていたという衝撃の事実発覚。
ごく普通の主婦がちょっとしたバイト感覚で電話してきたりもしたらしい。
「これはダメだ」という人は大体電話の時点でわかるという福本先生、佐藤先生の電話での第一印象は「これはダメだ」
福「だって、応募してくるのに相手の作品を『読んだことがありません』って…!いや、読んでないから怒ってるっていうんじゃなくてね、仕事を手に入れるために電話をしてきているわけでしょう?これから職を勝ち取ろうという人間がそんなことじゃ、受かるもんも受からないでしょう!」
佐「お説教されました(笑)」
佐藤先生の印象は「覇気がない」「声が小さい」など散々だった様子。
でも、その後佐藤先生は描いた漫画と、「北海道出身なので」という理由でなぜか写実的な「カニ」の絵を福本先生のもとに送り、採用される。
福「シュウホウは某美大出身で、絵が上手いんですよ(*この後も何度も「絵が上手い」と誉める福本先生)。カニのあのトゲトゲしたところがよく表現してあって、すごく上手かった」
「今までいたアシの中でも一番上手いんじゃないか」とも。
司「福本先生は、佐藤先生にとってどんな先生でしたか?」
佐「厳しい先生でした」
司「福本キャラに例えると?」
佐「えーと…それは…問題があるので…」
福「何だよそれ(笑)」
以前に他の番組では「兵藤会長」とか「鷲巣」とか言われてたっけ?(うろ覚え)
今はそうでもないらしいが、昔の方が厳しかったという福本先生。時代的なものもありますよね。
福本先生のもとには2年3ヶ月おり、『銀と金』や『カイジ』をお手伝いしたりしていたようです。
その後高橋ツトム先生のアシを経て、アシを辞めて半年間原稿を描きため、複数に投稿。
福「全部なにか賞取ってたんじゃない?」
佐「いえ、全部ではないです(笑)」
ほんとこう、いつも語尾に柔らかに(笑)がついてる感じの方なんですよ佐藤先生。
ちなみに実際は6戦4勝だったとか。
佐「四コマ漫画も描いてました」
司「四コマ!それは知りませんでした…なんと言う作品ですか?」
佐「『エロ兄弟』」
司「内容は…?」
佐「下ネタです」(会場笑)
佐藤先生の下ネタ四コマ…確かに、今の作品にまったくその片鱗がないとは言えないですが。
佐藤秀峰短編集 ハードタックル (ヤングサンデーコミックス)
- 作者: 佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/08/05
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福「四コマ漫画描けるってすごいね!僕は絶対無理です」
確かにちょっと想像しにくい(笑)
漫画の作られ方/絵やネームについて
佐「僕が漫画を描く時、たぶんネームの作り方に、福本先生の影響が大きいと思います。絵や言葉そのもので単純に訴えるより、理詰めでストーリーを進めていく…」
佐「例えば、(福本先生の手法で)あるページの最後のコマに小さく『…だ』と書いてあって、ページを開くと大きなコマに大きくもう一度『…だ!』って書いてあったりする。これは真似しましようと思いました」
福「あのね、絵の上手い人によくあることなんだけど、上手い絵を一枚描いて、それで『わかれ!』ってやっちゃうの」
漫画を描く時によく言われる「絵で説明しろ」。しかし、それだけではダメなんだという福本先生の持論。
絵の達者さに寄りかからずに、読者に対するわかりやすさ、伝わりやすさを優先するという姿勢は、表現者として大事なことですよね。
司「ボキャブラリーというか、台詞や表現などはどんなもので磨いておられますか?」
福「昔から小説はよく読んでました。よく、映画や演劇を見た方がいい、なんて言いますよね…もちろん、見るのはいいと思いますが、それをしたからといって良い作品が描けるかというと、それはイコールではないかな…と」
佐「僕も、ほとんど見ないです」
司「漫画も読みませんか?」
福「読まないですねえ…あ、マガジンで連載始めてから、年いった読者の方にはよく「もうしま(西本英雄『もう、しませんから。』のこと)と零だけ見てます」って言われるんですが(笑)…賞の審査員をやっているので、候補作は読みます。さすがに選ばれた作品だけあって、みんな面白いです!」
以前から主張しているのですが、CLAMPなんぞに鷲巣さま描かせるくらいなら、西本先生に『元祖ミココちゃん』を描いていただくべき。いや真面目に言ってます。
佐「僕も、自分が連載している雑誌の他の漫画も読まないので…」
司「あの、僕の漫画は…」
(注*司会の岩見氏原作の『ヴィルトゥス』は、スピリッツ誌上にて連載中)
佐「毎週楽しみにしてますっ!(笑)」
他の漫画で好きな作品は?という話題になっても、佐藤先生は…
佐「えーと、他の作品はライバルなわけですから…同じ戦場で戦っているライバルですよね。…どうしても、斜めに読んじゃうんですよ。純粋に楽しめない…
新しい連載始まってて、一回目読んで『ハハッ、こいつこんなんやってるよ!』って思ったり…」
先生wwwwww佐藤先生wwwwww黒いwwwww
いや、そういうことを感じるのは人間として漫画家としてごく当たり前だと思うんですけど、それをスルリと発言してしまうなんてwwwwある意味正直者wwww
この辺りから、佐藤先生のナチュラルかつさりげないポイズン発言にwktkし出す私。
佐「デビューする前に、編集者に『漫画だけ読んでちゃダメだ!もっと、小説を読んだり、映画や演劇を見たりして世界を広げないと…みたいなことを言われまして」
司「はい」
佐「ムカついたので、その後一切、小説も映画も演劇も見るのをやめました(笑)」
先生wwwwwwww佐藤先生wwwwwwwwwwwww
嫌いじゃないぜ…そういうの…
司「ええっ(笑)今もですか?」
佐「いや、5.6年見ないでいたんですけど…浮世離れしちゃったんで、その後は無理に見ないでいるのはやめました」
だめだ…全然書ききれない…
その2に続きます