くたばれ甲子園

今日は、おおふりの感想はひとまず置いておいて、別の野球漫画の話をします。

今年は(私にしては)甲子園の結果を追っていました。試合を見た時間はたぶん全部足しても一時間に満たないくらいだけど、地元の予選の試合を観戦したり、記事を読んだり、応援したり、楽しんだりしたと思います。
駒大苫小牧の不祥事発覚から、どうもすっきりしない毎日を過ごしております。
明徳の時もかなりブルーになったのですが、ブルーになったところで何が変わるわけでもありませんし、当事者でない私が事実も知らずあれやこれや言うこともできません(でも、苫小牧の部長とやらいう方が、被害者である生徒に「苫小牧を歩けなくしてやる」と発言したのが本当であれば、私はそんなことを口にする教師を許容することは到底できません。ぞっとしました)。

関係もないのに、思ったより自分はへこんでいるのだ…と感じた時、私は同じ漫画を何度か読み返したのでした。


(以下、「おれはキャプテン」高校生編の展開についてかなり詳細に書いています。白紙の状態で読みたい方は読まないでください)


特に今回読み返したのは7〜8巻(最新刊)。中学野球が舞台だった「おれキャプ」は、本誌からマガジンスペシャルへの移動を期に、高校生編に切り替わります。

おれはキャプテン」の主人公は、霧隠主将(カズマサ)。
幽霊部員一歩手前の補欠、将来の夢はスポーツジャーナリスト。「学生時代は運動部に在籍していた」という肩書きがほしいがために野球部に入部した、練習にも熱心でないパソコンオタクだった彼が、「環境は人を変える!」が口癖の部長先生によりなんと野球部の主将にされてしまい、持って生まれたその頭脳と隠れていた腹黒さと強引さ、なのになんとなく従ってしまうカリスマ性を発揮して、万年一回戦負けのチームを都大会優勝にまで導く様が、1巻から7巻途中までの第一部で描かれます。

都大会優勝、関東大会優勝、そして全国大会ベスト8という華々しい戦績をチームにもたらしたカズマサは、自身もその打率の高さから高校のスカウト陣の注目を浴びていました。
ある日彼はどうしてもと頼まれ、ある強豪高校の練習を見学することになります。それまで都大会でしのぎを削ったライバルであり、今では親友となったデレックも着いてきました。
恵まれた環境、ネットの裏で見守るOB連、威圧感のある上級生たち。見学はしたものの、カズマサは「キュークツの極地」と、強豪校にまったく魅力を感じません。
見学を終え、グラウンドの裏で見つけたボールとバットで少しだけ遊んでいると、それを見とがめた高校の選手に怒鳴られます。
カズマサがかけていたメガネに「コンタクトも買う金ねーんだったらウチに入るのやめといたら!?」と暴言を吐き、ハーフのデレックに「そっちの外人!」「おまえ何人だ?」などと言う。そんな態度にカズマサが「こんな学校に入る気はない」と言うと、彼らはカズマサのメガネを足で踏みつけて壊し、「言っとくけどこのメガネは君が転んで割っちゃったのよ?」「ここには誰も目撃者はいない」と笑います。
反撃したデレックを彼らが殴った時、その場に高校の監督とOB会長が現れます。
カズマサがメガネを割られ、デレックが殴られたことを訴えると、選手二人はシラを切ります。
カズマサが
「元々僕らこんなキュークツなとこに入学する気はなかったんで… このことは里に降りて高野連とやらにチクればいいだけの話ですから」と言うと、監督とOB会長は慌て、以下のような台詞をカズマサとデレックに言います。

君らが高野連に何事かを申し立てた瞬間…
私も君らふたりは「素行に問題アリ」! ーとして
東京の有力高野球部に伝達せねばならん

ウチに見学に来たとき 
君達ふたりが問題を起こした ーとね

素行の悪い野球部員はどこも獲りたがらん
君らふたりは東京の有力校では
野球ができなくなってしまうんだよ

「だから二人まとめてウチで面倒みる、ウチに入れ」と監督は二人を丸めこもうとします。


帰路、カズマサは自分の思いを語ります。

抗議する価値すら…無いですよ!

おれ達みたいなお子ちゃまにまで見透かされてしまってる
バカな年上の連中…

下級生をイジめることを生き甲斐とする
“体育会”の上級生…

高野連への対応ばかり気にする監督

有力高と言われるとこは
大なり小なりこういう部分は必ず持ち合わせている…

おれ…こんな顔しちゃいるが…
人並みに「硬式野球」にも「甲子園」にも
興味はある!

でもああいう雰囲気の中で「高校野球」をやることは
心のどこかで拒否反応があった

今日行ったところは殺伐としていたよ
もっと明るく伸び伸びとできないもんなのかねえ?

カズマサは策略を巡らせ、以前はライバルだったデレックと蝦名を誘い、
今年新設される無名の高校に三人で進学し、甲子園を目指すことを決めます。

ターゲットにした新設校・朋王学園には、軟式野球部が出来る予定でした。ですが、カズマサは入学前に理事長のもとに赴き、「オレ達が入ってやるから軟式グラウンドを硬式グラウンドにしてくれ」と掛け合います。
カズマサは全国大会ベスト8のチームの主将で4番、デレックはカズマサのチームにことごとく負けを喫してきたものの、彼単体での評価はカズマサより高いほどの名ショート。蝦名はデレックの父親(元3A選手)にその才能を見出された超高校級投手。その三人が揃って入学するということで、軟式野球部はついに硬式野球部に変更されてしまいます。

「し しかし…わからんのは
なぜ君達はこの学園を選ぶのだ!?」
「そりゃあ決まってるでしょ!
僕達は“キュークツな体育会”の中で
高校野球」したくないからです!」
「(霧隠…“体育会”にこだわるなあ…)」

入学後、一年生ばかりの硬式野球部が誕生しました。そこでも当然のごとく「キャプテン」におさまったカズマサは、独自の練習方法でチームを鍛え上げます。
そろそろ練習試合をしてみよう、とカズマサが提案しますが、新設校のチームは「甲子園出場高校」には相手にしてもらえません。
カズマサはあわてず騒がず、例の「君たち二人をまとめて面倒みよう!」とのたまった監督のもとに電話をかけ、練習試合を申し込みます。

「当校はそれなりのレベルのチームと対戦を組んでいきたいと考えておりまして…」
「あ!あ!そーゆーこと言っちゃうんだ!中学三年の僕達にあんな仕打ちをしたくせに〜〜〜!!」
「(ギク)」
「あの日のこと高野連にチクらなかったでしょ ねェ ねェ そのことについてはどうお考えなのです?」

もともと予定していた練習試合をキャンセルさせ、カズマサは強引に練習試合の約束を取り付けてしまいます。

当日、相手校に赴くと、なぜこんな新設校と…といぶかしがる相手校OB連。ビクビクしていた監督も、「そっちのレギュラーを出してくれ」と言うカズマサの不遜な態度に腹を立て、「控えメンバーで通させてもらう、五回までにウチが10点以上の差をつけて勝っていたら即刻試合は打ち切り」との条件を出してきますが…

8巻ラストではまだ練習試合がはじまったばかりです。この最後が、なんとも爽快な展開!何度も繰り返してみてしまいました。


カズマサがどこまで「くたばれ体育会!」で突き進んでくれるのか、展開だけでいったらおおふりよりも楽しみにしている漫画です。
高校野球ってさあ…」と落ち込んでいるあなたも是非!「おれキャプ」!!

あーそれにしてもカズマサはカッコいい!!惚れます!おおふり和さんと並んで「結婚してほしいキャッチャ−」の双璧ですね!性格があまりに違いすぎるけど!カズマサなら、何をやっても何かぶち上げてくれそうな気がする!
新設校のクセに詰め襟に学帽というありえない制服デザインの朋王学園もまた素敵。この世界にブレザーは存在しないのでしょうか。
同じ原作者の「ショー☆バン」も大変面白いです。向こうも最近もの凄い展開だよなあ。コージィ先生飛ばしてるよなあ…



そういえば、カズマサは中学時代、暴君だったけど、暴力は振るわなかったよね…