藤子不二雄A展

品川プリンスホテルのエグゼクティブタワーとかいうところで開催。会場に入ると、中はあからさまに普通のホテル。ブライダルとか行われそうな、天井の高い、床が絨毯な空間で無駄なゴージャス感あり。
私たちが行った時はそれほど混んでいなくて(前日に行った友人は「混んでいた」と言ってた)ゆったり見れてよかった。子どもは少なく、男性が多い。カップルも意外といた。人が多くなかったせいか、寒かったのがちょっと辛かった。
原画の展示はかなり充実していて、行って損なし!!堪能できました。一番好きな「怪物くん」の枚数が少なくてちょっと残念だったけど、怪物くんの中でもベストを争う場面のカラーが見れたので、本当に心から満足。物凄く嬉しい。(怪物くんとヒロシがスイカ食べながら浴衣で妖怪の山の方に行くところ)二人がスイカにむしゃぶりつきながら歩く場面の青く塗られた空間がとてもきれいで、これを複製原画にしてくれたら五千円でも買うのになあ…と思った(単行本では白黒だし、私の記憶と怪物くんの表情が違うので白黒バージョンとカラーバージョンの二種が存在するのかも)
ヒロシが妖怪にあってぶっ倒れちゃって、怪物くんがそれをおぶって帰るんだけど、ママへの言い訳する怪物くんの顔、もっと困ったような顔してたと思うんだよなー。そこが好きだったから。


会場ではビデオ上映もしてて、怪物くん見ました。あまりになつかしくて、ほんと幸せだった。怪物くん、キャラ造形が(藤子Aにしては)かわいく、声も野沢雅子さんですんごいかわいいんだけど、責任感があって男前なところがイカす。惚れる。素敵すぎる。プロゴルファー猿を見て、連れのAは肩震わせて笑ってました。


藤子A先生の原画は、美しすぎて印刷物みたいでした。ホワイトもほとんど使われてないくらい。カラーが物凄く鮮やかで、総天然色、虹色って感じ。これまた印刷物のように美しい。どうやって塗ってんだ…(まあ、塗りは本人じゃなかったりするのかもだけど…)
でも、アシなんかいなかっただろう昔の原稿もめちゃキレイ。スケッチっぽいのは少なくて残念だったけど、ちらほらある鉛筆描きのものは、圧倒される絵の上手さ。あたりまえなんだけど脱帽。
ハットリくんオバQの原画見て、原作久しぶりに読みたくなっちゃったな…怪物くんはてんとう虫版であるんだけど、子どもの頃買ったからもうぼろぼろ。愛読用に大人買いするかと検討中。


まんが道関連(トキワ関連というべきか)は必見!先生はすんごい色んなものをとってあるんだなー、鉛筆や万年筆の線って結構保つんだね、と変なところで感心。保存がよかったのかもしれないけど。
私とA的に興奮したのは、テラさんからの手紙。二人が上京する前にテラさんからもらった、A4サイズのわら半紙みたいなの四枚にびっしり書かれたやさしい手紙が展示されていた。青いインクで、入ったら挨拶回りを忘れずに、三十円くらいの石鹸なんかを買って(値段まで明記)とか懇切丁寧に書かれていて、当時せいぜい二十二歳くらいのテラさんのあまりの「まんが道」通りのお兄さんっぷりに打たれる。本当に、やさしく面倒見のいい人だったんだろうなあ。今の二十二歳じゃこんなの書けないよ。
昔は大人になるのが早かったんだろうけど、それにしても、既に漫画家としての道を歩きはじめている自負と誇り、それが同じ道を歩もうとしている子たちへのこういう優しさになって表れたんだろうなあ。とか。思ったりして。
テラさんは結局児童向け漫画の時代の波に乗れなかったわけなんだけど、それがこの手紙を見るとなんともせつない気持ちになる。
石森(当時)章太郎やテラさんが藤子Aの似顔を描いたスケッチも展示されていて、テラさんのは色つきですっごい丁寧な、そっくりな、新聞の政治家の似顔っぽいタッチなんだけど、石森さんのは、今のイラストレーターがスケッチブック頼まれてサラサラと描きました、といっても別におかしくないような、すごく洗練されたタッチなのね。
それを見て、またなんだかせつなくなってしまいました。
その後、サイボーグ009のデザインはハイセンスすぎるという話になったり。石ノ森さんはほんとすげーですよな。


当時の四畳半の様子が再現されているんだけど、机の上に「ゼンダ城の虜」の複製原画(下書きっぽくしたもの)らしきものが置いてあるのね。良く見せてよ!と手を伸ばしたかった…置いてある「手塚先生から譲り受けた机」は実物。


物販。まんが道の複製原画(¥980)とポストカードをおみやげに何枚か。それにしても、私の友人には藤子好きが多すぎる。というか、単に藤子先生がそれだけ日本中に浸透しているだけかもしれないけど。


あっそうそう!香取主演のハットリくん映画の予告編も流れてたんだけど…
なんというか、あまりのフジっぷりに驚愕。さすが「ザムービー」とついてるだけのことはあります。
アクションは「スパイダーマン?」その後、警察の人とかがずらっと出てきたりして「踊る?」音楽もそういう感じでした。
まったく観る気なかったけど、あれでかえって興味がわきました。どんなんなんだ。