女子がシャイ。を愛する理由


女子で「シャイニング娘。」を愛好している人は多いのではないかと思います。あくまで予想なんですが。
かく言う私もシャイが好きで、一巻が地元の本屋ですぐになくなってしまったと日記で激しく愚痴ったりしていました。二巻は見かねた友達が見つけた時に買っといてくれて、三巻はアマゾンで即効購入。
友人Aは、私がいつも「強姦ものを適当に書く人は嫌い」と言っているのに、シャイのような成人向けで明らかに女の子がみんなにどうこうされちゃってるのは好きってどうして?と思っていたらしいんだけど、シャイを実際読んでみて、なんとなく納得したらしい。
ちなみにCもシャイが好きで、私が「もうすぐ三巻出るよー」と教えた時に、かなり焦って「買いに行かなくちゃ!」と言ってました。


「シャイニング娘。」はどうして女子読者に受け入れられるんでしょうか(私の周りだけしか知らないけど、なんとなく確信)
以下、私がシャイを好きな理由を書こうと思います(全ての女子にあてはまるとは思いません)


まず絵がかわいい。成人向け漫画としてのクオリティが高く、一つの作品として非常に秀でている。
もともとアイドル好きの女子には確実にアピールする(Aはよく知らないけど私とCは女性アイドル歌謡を愛好している)。なぜって、彼女たちが作中で非常に魅力的に描かれているからです。
この作品のことをどこまでどう言っていいのかわからないけど、ある意味二次創作のものすごくレベルの高いやつ、という見方もできると思います。


それに、私が非常に強く思うのは、作中のシャイ達は、例えばファンやらなんやらのたくさんの顔のない男たちによって犯されても、決して汚れないということ。
アイドルにこんなことを!みたいな、犯す、貶める、蹂躙するという性嗜好というのは王道だと思うのですが、シャイ達の場合、顔のない男たちに犯されるというよりは「彼女たちを愛する男たちに犯されている」ように読める。
(*愛していればレイプしていいという意味ではありません)
シャイ達は「愛されているがゆえに」犯されているのであって、決して、ただアイドルを辱めてやりたいという意図でされているわけではない。(この辺、説明が難しいのですが)
シャイ達がされているのは、現実の女性が男性にされる暴行、陵辱ではなくて、あくまで成人向けの漫画の中の一イベントとしての陵辱であるように、私には見えます。
ファンとしては、例えばテレビを見て、バラエティ番組で罰ゲームをするアイドルに「かわいいー」「●●はああいうキャラなんだから、あれでムカつくってのはおかしいよなー」「今の○○はありえない」とか、そんな風に盛り上がることの延長線上にシャイへの陵辱があるという気がするのです。
シャイ達は犯されることによって貶められるのではなくて、ますます光り輝く。犯されることによって、男たちに崇め奉られていると言ってもいい。
実際作中のシャイ達は、ありえない陵辱を経てさらにアイドルとしてガンガン飛ばしまくります。陵辱がシャイ達の人気を下降させたり、不幸せにすることはない。陵辱自体はシャイ達に実際起こったことだが、犯した男子たちにとってはただの妄想という設定だから。
見も知らぬ男の精液に塗れても、シャイ達はいつも生命力にあふれていて、元気で、かわいく、とても魅力的です。
シャイに行われる陵辱が、シャイの体や心を傷つける暴力ではなくて、「成人向け漫画」の中でもっとも魅力的に描かれるための彼女たちの衣装になっているんですね。
テレビの中の実物のアイドルも、日夜ファンたちの頭の中の外に見えない妄想にさらされているはずです。多くの男性の頭の中に妄想に住むことで彼女たちはさらに愛されて、輝くのだと思います。(妄想に出てこなくなっちゃったら、それは興味がなくなったってことだから)


だけどもちろん、実際にひどい陵辱をアイドルに対してしていい、とかそういう意味ではまったくない。それを実行に移したら犯罪で、現実の生きている女性は、精神的に物理的にも多大な被害をこうむる、決して許されないことです。
強姦は恥ずべき犯罪です。
ただ、この世界の中では、シャイ達は犯されつつも常に男性の上位にある。欲望の形式としての陵辱は、作者のサービス精神と技量によってありとあらゆるものが読者に提供されるけれど、それすらもシャイへの愛の証であって、シャイ達をこの世界(=成人向け漫画)でもっと輝かせよう、みんなに愛してもらおうという愛情の表れではないかと私は感じるのです。だから、この作品がとても好き。


私が嫌いなのは、「陵辱」というエピソードを「女性の登場人物を汚すためのイベント」として提供する作品です。
犯された女性=傷物、汚されたもの。そういう概念を持つ作者(男性、女性に関わらず存在する)の頭の中から出てきた創作物は、わたしにとって総じて不快に思えます。どんなに小さな表現でも、作者がそう思っていることは必ず作品に出てきて私を憂鬱にします。


最近では、アフタヌーンの「アキバ署!」の第一回(二回目もたいがいひどかったけど)がかなりどうしようもなかった。あの漫画、ネタの料理の仕方はともかく女性受けははてしなく悪いと思います。絵も上手いようで下手だしかなりダサいし…
有名どころだと北村薫の「盤上の敵」がダメ。それ以外の作品でも北村薫の女性の描き方は虫唾が走ります。(参考 http://zabon.s12.xrea.com/200002b.html#19 ビューティフル・ドリーマー


女性向けの二次創作(つまり、男性キャラが暴行を受けでも、そうやって私を憂鬱にさせる作品はいくらでもあって、それに比べれば「シャイニング娘。」はなんて愛のあふれた漫画なんだろう、と思います。槌ハコかわいいよなー。×浦と不死本のラブラブさ加減もいー。みんな好きでみんなかわいい。はやく四巻出ないかな…
シャイ達を犯す男性キャラクターの造形も、非常に気を使っているというか考えているなーと感じます。表に見えるのは「犯されるアイドル」であって、それに性的に興奮できるんだけど、結局のところ「みんなアイドルを愛している」っていうことがよくわかるんですね。
だから、成人向けの作品であるとか、一般向けにいかにも繊細でハートウォーミングな話を書いているとかは関係なくて、作者が女性に対して(=人間に対して)どのようなスタンスでいるかということは、作品からにじみ出てきて読者に伝わるということかと。


私は、北村薫より「シャイニング娘。」に愛を感じます。



…でも
http://www.cute.to/~spanks/
こちらで知りましたが、

書店の配置/店頭POP問題ですが、「なかよし」に連載されていたモー娘。の実録ものと「シャイニング娘。」を並べて配置していた書店もあったらしいので、弾けたディスプレイをしてしまうのは腐女子に限った話ではないみたいです。

それはあかんですよな…(涙)
あのね、小学生の女の子とかがね、自分の好きな漫画ってほら、目についたりするじゃないどこにあっても。
それでね、横にあるのがねあれでね、よくよく辺りを見回すとその辺が全部成人向けだったりしてね。最近ああいうのかわいい絵多いから、まかり間違って中見ちゃったりしたらね。
シャイの作品としてのすばらしさとは別に、そういうことあったら本当に嫌な思いをすると思うよ。