家政夫パタリロ!

かゆいので、以前書いて放っておいた漫画レビューをふたつ。

これは買っていなかったので、先日のBSマンガ夜話で大槻さんも驚いていたことだし読んでみるか、と購入。
パタリロと銘打ってはあるものの、ここに出てくるパタリロマリネラの王子であるという設定はなし。アラファト家政婦派出協会に属する有能な家政夫さんです。
百億の借金のために真面目に働いてはいるものの、守銭奴スイッチが入り家政夫としてのお給金以外の働きをしてボーナスをもらおうとする。序盤はそれでも本家パタリロにはまったく及ばない地味なお金稼ぎ&善良/清貧っぷりだったが、やがて作者の描きクセが戻ってきてしまったのか、後半は普通に守銭奴になる。
バンコランやマライヒなどの本家のキャラクターは登場せず(この先はどうか知らないが)舞台も日本で、オレオレ詐欺や買い物依存、整形など、身近な問題解決ネタが多い。頼りになる先輩家政夫のおクマさんなどに協力してもらいつつ、仕事先の家庭の居心地を良くしつつおパタ(パタリロの本作での通称)は去っていく。
全体的にキャラの線などあっさりとフラットになった印象。スッと読みやすく、お決まりのゆるいギャグのノリは変わらず。パタリロを四十巻くらいまで普通に読んでる人なら何の違和感もなく読めると思われます。
中身は人情話。家族間のこじれた関係を直す話が多いが、ちょろっと妖怪なども登場するのも馴染みの魔夜峰夫テイスト。詐欺や金貸しの説明など、1ページをほとんど説明台詞で埋めてしまっているような部分が二カ所ほどあって正直手抜きだなあと思ってしまったけど、あれを話にからめて進めて一話で終わらせるには短い分量だからしょうがないか。それまでのパタにもミステリネタの謎解きなんかでほんのちょっとそういう風に感じることはあったけど、許容範囲だった。でもまあ、これこそ風邪の時に読むのにいいかも。
おクマさんはいいキャラですよ(表紙画像の右端)。