まだまだ桐青でイケる!設定オタの話

ということで今日も一腐女子えみふわさんの脳内盛り上がり具合をモデルケースとして晒してみる試み。

えーとそんなこんなで桐青語りを長たらしくやってみたところ、思いのほかブーストがかかってしまい止まらない状態に。urouro360さんに感謝。自分の桐青語りをもう一度読み返してみたり、原作の切り抜きをもう一度読み返してみたり、ほとんどただのオリジナル小説と言っていい桐青ストック三万字を読み返してみたりしてみたものの、情報への欲求に拍車がかかるばかり。というわけで、emifuwaさんは別のところに手を出してみました。


現時点でわかっている桐青高校の情報から、たぶんモデルになっている学校はここじゃねーのかな…というのが個人的にあったのですが(私が勝手にそう思っているだけで、実際にモデルかどうか、そもそもモデル校など存在するのかはまったく不明です)そこの公式サイトに行って、隅から隅までなめるように見回します。
体育コースなんかはないのねとか、アクセス方法とか、駅まではちょっと遠いねとか。バスが出てるよとか、うわっ屋内野球場とかあるよとか、最寄りのコンビニの位置とか(このコンビニが何か知りたい。セブンかローソンかファミマかミニストップかそれ以外か…)、男子の体育の授業には柔道が!とか、学校行事予定表を食い入るように見詰めまくったり、カリキュラムに聖書と礼拝の時間を見つけたり、進学状況チェックしたり、授業料や制服の値段、茶髪とピアスは駄目だねとか、うわー校歌あるよ校歌!(そりゃあるだろう)とか、修学旅行はどこ行くとか、もう俄然盛り上がっちゃって大変ですよ。

友達にこの話をしたら

校歌に興奮するの分かる(笑)校歌あるんだ!そらあるよな。
あとプールは屋外か金あるなら屋内かとか(更衣室は中にあるのかも含め)
食堂の位置とか購買の場所とか。知りたいよねえ。あと室内履きのデザイン。

そう!さすがあんたわかっとるわ!!上履きのデザインは超重要事項だ!
校舎の中の学年ごとの教室の位置は?部活の設備やグラウンドについて分かれば、どういう移動手段でそこに行くかとか。桐青のレベルと地区から鑑みて練習試合はこの辺の学校とやるんじゃないかとか。あそこの学校とは顔見知りかもしれないとか。地理的な要素はもの凄く大事なので絶対押さえておきたい。ただの私的な妄想に基づく捏造であったとしても。
いやもう、そんなことして楽しいか?と訊かれても楽しいとしか言い様がない。


自分でもこのような活動を「設定萌え」という単語で表現しているような感覚があったんだけど、やっぱりどうもそれは明確に違う。「設定萌え」ってなんなんだろうとあらためて思う。野球のデータにしろ、この高校の情報にしろ、設定(データ/情報)の内容自体に萌えているわけではない。


私のもっていた「設定萌え」という言葉に対するイメージは、例えば「下克上萌え」とか「生き別れの兄弟萌え」とか「投手と捕手の関係萌え」とか、「設定それ自体が本人にとって萌えである状態」、というものだった。
私の場合は、設定それ自体には萌えてない。自分の中の萌えを構築するため、もっと強固なものにするために情報を収集しているだけ。その設定(データ)から萌えが生じる場合もあるけど、それは設定「だけ」で萌えているわけではない。設定はあくまで燃料にすぎない。
萌え(桐青に対する私的なフィルターをかけた妄想)は既に存在しており、それの更なる発展育成のためにデータ(設定)がほしいだけなのだ。
と、友人に話したら「『生き別れの兄弟萌え』とかそういうのは『記号萌え』であって設定萌えじゃないと思う」と言われた。確かにそうだ。記号萌えというのは、それがどこにあろうと誰の手になろうとそれ単体の存在のみで萌えられること。私も実に多くの記号萌え事項を所有している。
桐青の中の萌え事項を列挙するなら「和サンがいわゆる美形キャラではないところ」「利央という傍観者/第三者が設定されているところ」「制服がブレザーなところ」(私はブレザーが好きなんです)「三人の学年が違うところ(先輩後輩関係であるところ)」とかまあ、そんな感じ。他にももっとあるけど割愛。
こういういくつかの事項によって、原作でのメインの話にその時点で絡んでいないにも関わらず自らの妄想力を総動員してサイドの萌えを醸成していたemifuwaさんだったわけですが、その後判明した情報によると、桐青高校は中高一貫校キリスト教系らしいのだ。
正直それ聞いた時はがっくり来た。自分が最初にイメージしていた和準利央の高校のイメージと違ったからだ。希望は公立校で、名前は地名がよかった。あと今日気付いたけど、なんでこの設定にひっかかるかっていうと三星中高一貫の私立校だからだ。かぶってんじゃん!中高一貫私立ってそんなにいっぱいあるのか?少なくとも群馬には二校しかねー。しかも一校は最近中等部作ったばっかり。自分が中高一貫私立校(しかもキリスト教系)なんてのとまったく縁がなかったので、妄想しにくいってのもある。しかしまあ、それを逆に縛りとして萌えに還元することは不可能でないのでまあ良しとする。今後、中高一貫キリスト教系の学校がどのような雰囲気なのかという情報も継続して探していくことになる(ていうかもう既にそういう活動を行っている)。
準サンが投手だと聞いた時も微ガッカリだった。和サンが捕手ってベタベタすぎるように思えたし、もうバッテリーの関係はおなかいっぱいですよというのもあったし、準サンがめっちゃ有能な捕手っていうのも素敵じゃないハアハアとか妄想していたからだ。
名前が準太ってのも、なんか次男っぽくて豆ガッカリ。勝手に一人っ子っぽいと思っていたからだ。和サンなら弟とか妹とかいてもいいけど。利央は兄がいることがわかっているけど姉とかもいるといい。兄弟全員出来がいいのに末っ子利央だけアホの子だといい。でも家族に一番愛されているといい。
利央がクオーターってのもワンモアガッカリ。ちょっと眠そうな二重の天パ野郎くらいが間抜けでかわいかったのに。クオーターという決して影響力の小さくない設定が加わると、利央を動かす時のベクトルがまるで変わってくる。このネタが判明する前に書いた桐青ストックはこの設定のせいで全面書き直しを迫られることになる。家族の国のデータとか文化とかそういうのまで調べなくちゃならんので大変。最近はハーフや二世の選手がクローズアップされることが多いけど、その辺の記事もあたっておくべき?利央に関する設定をそこまで広げてしまうと、準和の方に焦点を絞りにくくなっていろいろと都合が悪い。更に、利央と呂佳という名前の由来をこっちで勝手に設定していたのに、そんなとこまで作者にフォローされてしまいカタストロフガッカリ(もの凄い自分勝手)。キリスト教系サイトを巡りまくったあの苦労はいったい…まあそっちの意味もあるってことにすりゃーいいかとポジティブシンキング。
このように公式設定が多いと二次創作的には面白くもあるし、鬱陶しくもある。好きなだけ捏造できた方がいいけれど、何らかのとっかかりは欲しい。
二次創作ジャンルで盛り上がる原作は、こういう捏造の隙間が大きい作品が多い。スキのない作品は二次創作をしにくい。思う様捏造していいだけの余白の部分が妄想を加速させる。でもぜんぜん無いじゃ駄目なので、その辺が「狙って盛り上がる」ことの難しさだと思う。
まあとにかく、嫌でも何でもそれが公式設定なんだからしょうがない(次男かどうかは知らんけど)。自分の中のイメージを修正し、名のない高校から新しい桐青高校を自分の妄想の中に構築する。空想の城を建築するのに、情報は多ければ多いほどいい。でも、「中高一貫校キリスト教系」とか「準太はこんな投手」とか「利央はクオーター」という設定自体に萌えているわけでは決してない(それから無理矢理萌えを導きだすことはあっても)。


私の知ってる人では、おお振り好きで埼玉県の地図帳を買った(眺めてたのしむ)なんてのは序の口で、阿部好きが嵩じて「数1の問題集を買った」という人もいます(勉強会の話の時に阿部が数学が得意であるらしいエピソードがあったから)。それ聞いた時はさすがに負けたと思った。いや、この人の妄想力にはいつもいつも負けたっていうか勝てないと思ってるけど。理由を尋ねたら「阿部に数学教えてもらいたいぞという気持ちが嵩じて…」「これがタカヤのやってる数学か、ドゥフフ…」(ほぼ原文ママ)といった感情のなせる技だったらしい。もちろんこの人は高校生とかでなく、某有名私大出身で現在は出版関係の仕事をしている妙齢の女性です。そんなあなたが私は大好きですが。
で、地図帳を買ったという方にその話をしたら「ずるい!私も(数学の問題集を)買おうと思って我慢したのに!」と言われてしまいましたが。あーでも、私も阿部が自分の二次創作の対象だったらチャート式とか買っちゃうかもな…
これも、埼玉県の地図そのものや数学の問題に萌えているわけではないですよね。


「設定(データや情報)を集めること自体が好き」なのが「設定萌え」であるなら、私のこれも「設定萌え」かもしれないけど、どうも違うんじゃないかと思う。でも、この情報収集作業をいったい何と名付けていいのかよくわかんない。とにかく自分がもの凄い勢いで自家発電してることはよくわかるんだけど。「設定萌え」というより「設定好き」だよな。
「設定好き」と一口に言っても「公式設定のみ重視タイプ」と「勝手に自分なりに詳細な設定を捏造して楽しみたいタイプ」とはまた全然違う。私は後者だ。人によっておのおのアンテナのはりかたも興味を持つところも違うから、同じものにハマっても調べるものは全然違ったりして。それをお互いの作品見たりチャットで喋ったりして違うなー、同じだなー、そんなことまで!とかするの、すっごい楽しいんだけど。
桐青の選手データは原作の公式データであって、たぶん次号あたりでもふれられるはずだけれども、モデルかもしんない高校の情報を参考にするのは非公式設定であり、そもそもそれが正しいのかすらわからない。実際はモデル校なんてないのかもしれないし、色んな高校の寄せ集めイメージかもしれない。例えば三星に関して言えば、制服がブレザー、中高一貫私立、寮のある野球部、という条件を満たす高校は群馬には無い。たぶんあの辺のイメージだろうなというのはあるけれど、そこは学ランだし私立じゃない。私は叶萌えも織田萌えも畠萌えもないけど、三星学園が出て来た頃から既にモデル校探しや細かい設定を想像して楽しんだりしていた。もちろん西浦もだ。
二次創作をしようという気持ちがあればもっとその作業に熱は入る。桐青高校を舞台にして何か話を書こうと思うなら、モデルになる学校があるとイメージしやすくて楽しい。そして、桐青が足りない時などの妄想の燃料として機能してくれる。で、原作で新たにそれと食い違う設定が出てくれば上手い具合に修正し、辻褄をあわせ、妄想の砦を強化していく。楽しくてしょうがない。
変則的ではあるだろうけど、こんな風に情報を求めるのが好きな人は絶対にたくさんいるはず。そしてそれは腐であることとはたぶん関係ない(腐がエンジンとして機能することはあるだろうけど)。
私はファンタジーものというのは二次創作の対象としては手を出さないんだけど(捏造しうる部分が多すぎて気が狂いそうになるので)、ファンタジーものを好きな人は設定大好き機能を備えた人がいっぱいいそう。あとSFも。


例えばハガレンハガレンの世界は、それほど熱心に読んでいない私でも(単行本が出てたら買うくらい。最近ちょっといまいちなので最新刊を買ってない)この国ってどうなってんだべ?と思うこと頻りな不思議な世界です。
ハガレンにハマっている(二次創作もやってる)友人は、色んな部分が非常に気になるらしい。

ガンガンの7月号あたりで大佐が「救急車を呼んでやれ」とかさくっと言ってますが。


きゅーきゅーしゃ?!社会保障あるんだ?!それどこに属してるの?自治体?警察?警察あるの?でも軍じゃないよね?救護班とかなら、軍の組織だなと思うけど。救急車は違うよね。電話一本で救急車が飛んでくるっていうのは、かなりの水準だよ。日本だと昭和30年代にきっちり確立したくらいだよ。
医療水準とともに、国民すべてが医療を受ける権利を有するという社会保障の基本概念が国民基本コンセンサスになったのがちょうどその頃。それまでは医療なんて金のある人が受けられるものだった。だから救急車なんて必要ない。医療受ける絶対人数が少ないんだもの。恒常的に侵略戦争をやってるらしいあの世界において、そんな社会保障概念が成立してるとは思いがたいんだけどな。


そもそもあの世界において、軍の立場が非常に曖昧。大総統ってのはイコール首相なのか(軍事政権タイプ)それとも政府は他にあるのか…にしては政府の人間が今まで全く出ていない。政府が金だして軍を養ってるんだから、政府側が登場しないってことはありえない。てことは軍事政権タイプだ。イメージ内閣府のようなヒューズさんのとこの部署も軍の一部だしね。
軍事政権で社会保障をきっちりやってるとこなんて、今までの世界歴史上どっこもないぞ(笑)軍事政権下でろくな経済が育たないのも、せこせこお金ためてもあっさり奪われる可能性が多分にあるからだ。
だから軍事政権下では巨大な政商か零細商に二極化しがちで、貧富の差は開きがちになる。軍(武力)は否応なしに社会生活基盤を破壊することを良しとされている部門であり、それは人として尊重され生きる権利(日本国憲法11条)とは相反する。社会保障概念など育つはずもない。


だから、あの世界で救急車があるのは、納得いかないのよ。

たぶん彼女は脳内の知識をフル動員して、なんとか辻褄の合う設定をひねり出すだろう。それはそれは見事な腕前に違いない。
でさ、これを「漫画なんだから!」とか言っちゃあつまらんわけよ。いったいこの漫画において軍ってどういう扱いなのか、どんだけ力あるのかないのか、どこに権力が集中してんのか、そらやっぱり、例えば大佐を書こうと思ったら気になるよね。政府の人間がまるっきり出て来ないから私も漠然と軍事政権だと思ってたけど…
原作の隙間をぬって、情報や知識を駆使して、どうにか辻褄を合わせる捏造する。ああ、こういう傍から見たらくっだらないようなことに血道を上げるのが楽しいんだよね。オタだよなあ。オタって楽しいなあ。オタでよかった。


…ああそうか
設定萌えじゃなくて
設定オタなんだ…


でも、設定オタってオタとしてはごくごく普通っていうかデフォルトで所持している機能という気がかなりするんですけど。オタとしては多数派だと思う!
こういう意見ももらった。

伝統的なヲタであるシャーロキアンとか、ロンドンやイギリスのあちこち歩いて「ホームズがあの時食事をしたのはここだ!」とか「ホームズがコートをあつらえたのは位置関係からしてここだ」「いやそこは創業は1925年だから当時はないはずだ」とかわいわいやってるじゃん。あれ、小学生のとき羨ましくてさー(イギリスなんて死ぬほど遠いからいけるかすら分かんなかったし)
知りたいよ。ホームズが食べてたマーマレードがどこのなのか。ティーカップはヘレンドのチャイナシリーズなのか。
それ知ってたとしても、何が変わるわけじゃないんだけど、でも一生そのメーカーのマーマレード見るたびに(ホームズが食べた奴だ)と思うだろうし。
ロンドンのマキシムでホームズはクリスマス前にガチョウを食ってなんでマキシムでわざわざ。高いよ!とワトソンに怒られたとかさー覚えてるし(笑)
だって好きなんだもん。ホームズが歩いた世界を知りたいじゃん。

あー確かにこれと同じかも、と思った。私も小学生の頃ホームズ読んで、ここまではハマらなかったけど同じようなこと考えてたなあ。
漫画読んだり、小説読んだり、映画観たりしてそれにハマると背景その他もろもろが知りたくなるのってやっぱり普通の欲求だと思う。腐かどうか、男性も女性も関係ない。私の友人には二次創作の作り手側が多いので自然そういう人ばっかり集まるのかもしれないけど、作り手側じゃなくたってシャーロキアン的楽しみ方ってオタとしてごく標準だよね。
先の阿部好きで問題集買ったという人は非腐女子だし、阿部ネタで二次創作をする類いの人ではありません。しなくても数学の問題集買って、それでウキウキ出来ちゃう想像力は凄いと思うし、私はそういうの大好き。
設定が好きな人って、アニメの絵コンテとかキャラ原案とか、設定集なんかでスケッチブックの隅にささっと書かれている作り手の一言や、覚え書き、日の目を見なかった設定、そういうのを見るのが大好きな人なんだと思うのね。
そして、オタって基本的にみんなそういうのが大好きだと思うのね。
だから、みんな好きなものに関しては大なり小なりこういうことして楽しんでるんだと思ってたよ。奥ゆかしいから口に出さないだけだとばっかり。するよなあ。楽しいよなあ。ねえねえ。


そういえば以前もid:triplet:10000203#p2のコメント欄で設定たのしいですよね、という話をしていたんだけどtripletさんは周囲にあんまり仲間がいないとおっしゃっていた…
私は今後も設定大好きっ子として生きていきたいと思います。設定が好きだけど、設定友達がいなくてさみしい…という方、きっと愛好者はいるはずです、めげずに設定妄想でウッホウッホしましょう。
あーそれにしても、かわぐち原作作品にだけはハマりたくないぜ…どんだけ資料集めなあかんねん。昔かわぐちやってた友達も「世界の軍艦」とか持ってたってゆってたな…


ふうー、この高校のコンテンツだけで桐青解禁までどうにか乗り切れそうですわ。資料請求しようかしら。