妄想する人って、好きです

最初、「これは非常にレベルの高いドリームではないか」と思って読み進めていたドリサイトがありました。
原作に忠実で、細かい設定もうるさくなく散りばめられており、主人公(自分)の設定つくりが上手く、その作品に本当に登場していても違和感がないような、それでいて原作のキャラクターがその主人公とからむ、主人公を気に留める理由もきちんと提示されており、おおこれは!これなら私も面白く読める!すごいすごい!と思って読んでいました。
…でも、途中で(長編だったのです)、その主人公の言動がとても鼻につくようになってきて、「出張りすぎ」と思えてきました。主人公は随分活躍しているけど、私の好きなキャラクターはあんまり魅力的に描かれてないなあ… そういうところが気になりはじめ、読むのを中断してしまいました。
かなり良く出来ている、上手いサイトだとは思ったのですが。好みでなかった、ということなのでしょう。(やや逆ハーレム気味でしたが、それ自体はあんまり気になりませんでした。少女漫画でよくあるアレの範疇だなと)
そうそう、逆ハーレムを許せるか否かがドリの境目、みたいなことを以前勢いづいて書いたことがありましたが、あれはとっても一面的な見方でした。今ではそうは思ってないです。いろいろあるよー。


そんな感じで、やはり「全体的に、部分部分で面白かったりはしても、結局は私にはなじめない世界だなー」と思っていたのですが、一個だけ、気にかかるサイトがありました。


そのサイトのドリームは、多分にちょっと特殊ではないかと思うんですが、主人公(自分)の女の子が非常に卑屈なのです。
相手の男性キャラクターに憧れてはいるものの、物陰から慕っているだけです。自分なんか絶対に相手にしてもらえないと思っています。向こうが近づいてくると逃げたりしてしまいます。
相手の男性キャラクターは原作の作中では嫌われ役ですが、読者には非常に人気のあるキャラクターで、主人公(自分)は「皆は嫌ってるけど、私だけは彼のすばらしさを知ってる」と思っています。
私もその原作の中では彼が一番好きだというのもあり、あと、ドリでない二次創作で色んな方向に美化された彼を見慣れていたせいか、結構すんなり「ああ、こういう妄想、アリかもしんない」と思えたのです。
Bは「気持ち悪い」と一刀両断しましたが、私とCはこのサイトが、何かこう、妙にひっかかるものがありました。
Cの感想メールを引用すると

すっごい気持ちわるいんだけど、願望がぎゅっと出ているのが個性的。
これたぶん、小学生のとき読んでたら、すっごいはまってたんじゃないかな!と思いました。いや、間違いなくはまってた!夢中になって読んで、感情移入しまくって、「ああ、わたしなんかが●●(男性キャラ名)にふりむいてもらえるわけないぢゃない」って一緒に心を痛めてそう!そんで心を痛めることで悲劇のヒロイン気分満喫してそう!って、そんな自分が容易に想像できて、ちょっとへこみました(笑)
でも今はもう気持ち悪い方が先にきちゃってあかんです。
このお話、●●が一応ちゃんと書けてるから、読めるんだなーと思います。ちゃんと、というのは少女漫画の相手役の男の子(子…)の役割を果たしている、という意味なんですけど。

私は、気持ち悪い!という意見もものすごくわかりつつも、結構このドリーム好きなのです。連作で続きものなんですが、続き読みたいなーって思うし。
私の中に「好きな人がいるけどあんなすばらしい人が私なんかに振り向いてくれるわけないじゃない陶酔」というものが、確実に、確実に存在しまして…そこを上手いこと突いてくるのです。


あとこれ、私だけかもしれないんですが非常に重要なこと。
このドリーム、主人公(自分)が「美しい」という描写がないのです(たぶんなかった)。
主人公の友達はとってもきれいな子だったりして、主人公はうらやましく思ったりしてるんですが、主人公自身は、人の記憶に残らないような目立たない容貌。私が割と拒否反応を起こさず読めたのは、そこが大きいです。
逆に、主人公(自分)を美しいキャラだという風に設定してしまっているドリームは、私は物凄い勢いで拒否反応を示しました。
主人公(自分)に、相手の男性キャラクターが「その美しさに目を奪われた」りすると、「ギャー!!」って鳥肌ものです。


だって、ここにいる私は、実際はそんな風に美しくないもの!とどうしても思ってしまう。それは私じゃないんだ、と。
私はそういうものはほしくないんだと。
そりゃあ美しくなりたいですよ。ダイエットするし一時期コスメオタだったし、買い物大好きだし。そうだけど、自分が美しくなろうとすること、美しくあろうとすることと、美しいという設定を苦労せずに得てそれを「自分」とするのは、違う…(いやあそのドリ作者さんは本当に人目を奪うほど美しいのかもしらんけど)

というか…
今思ったんですけど…
そういう風に「美しい」という設定を与えられて、好きなキャラクターに愛される自分。
私は、そういうものが嫌で、そういうものから逃れたくて、腐女子になったのだという気がするのです。
すごくすごーく、そういう気がするのです。
「美しい」って言われて、愛されて、
もしそれを許容してしまえる自分なら、
「それでいいのかよおまえ!」って自分に向かって叫びたくなる。


だから、多くのドリサイトで与えられている、主人公(自分)への美しいという設定。それに非常に強い拒否反応を示してしまいます。

私だけかもしれないけれど(自分の容貌にコンプレックスがあるからなのか…)腐女子のみなさん、どう思われるでしょうか。


ああ、何か突然自分のふたを開けてしまった気持ち。お見苦しいところをお見せしました。
でもこれは私にとって非常に重要だと思われるので、自分としてはこれでいいのです。