そっちも欲しい


翻って、現時点で「ボーイズラブ」というライトな表現が確立し、受けキャラが女になっても別段問題のない、少女漫画のヒロインを男に変えただけのような、お手軽とも映るタイプの作品も強く支持されるのは、男同士という手法だけで一瞬救われても、現実に自分に突きつけられている世間一般の女性像を打破して、自分なりの幸せの形を模索するのは、物理的にも、精神的にも、大変な作業です。自分自身も、他人をも、見つめなければならない。それはとても辛くて苦しい。だから尾崎南作品の若島津だって、「どうすればいいんだ!」と叫ぶわけで。


だから、世間一般で幸せとされる男女のカップルを模した、でも「男同士」という精神的な逃げ場を作った「ライトなボーイズラブ」の世界をもキープしておきたいんじゃないかと思うんですね。
「そっちも欲しい」んだと。
かわいいと言われ、攻めキャラ(=男性)に甘え、甘やかされ、愛され、庇護され、それが幸せなんだ。そうじゃなければ、今の自分はどうなる。