初心者が1ヶ月でMikuMikuDanceのモーショントレスやってみた


追記:

MMD初心者向けブログ立ち上げました。

はじめてのMikuMikuDance!









MikuMikuDanceをダウンロードしてから約1ヶ月…ようやく動画が完成しました。
ピンク・レディーの「渚のシンドバッド」をモーショントレスしたものです。
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どうにもならない技術の欠如により、拙い動画ではありますが、一応の完成。

みんなの夢を形にするソフト、MikuMikuDance…ユーザー製作モデルも充実、初心者の手引きになる本も出版された今このタイミングで、ちょっと興味を持っている人の参考になるかもしれないので、覚え書き的に製作の流れ、苦労したところなどを書き留めておこうかと思います。
完全な初心者でも、ほら!この程度ならなんとかなるよー!と思っていただければ幸い。

製作環境

前回も書いた通り、私はMacなので、BootCampMMDを動かして製作しています。
iMacでメモリは3G、HDDが250GBのうちたった32GBの領域でも、結構何とかなるもんですね…!!
製作中に動作が重いなどのストレスを感じたことはまったくありませんでした。
作業する時はいちいち再起動しないとWindows環境に移れないのですが、これが結構だらだらと作業し続けることを抑制できてよかったです…
ただ、テスト出力したaviファイルで動きを確認する時は、Windows環境だとカクカクというかぼわぼわだったので、Macの方で開いてチェックしてました。

1.MikuMikuDanceをダウンロードする

偉大なるMMDの作者である樋口優さんのサイト、VPVPさんからMMDをダウンロードしてきます。
めちゃくちゃ軽いので、カジュアルな気持ちでさあ!あなたもMMDで遊びましょう!


バージョンがいくつかありますが、説明の通りに、自分に必要なものをダウンロードしてください。
とりあえずミクを動かしてみたい場合はVer.2.02、私のようにユーザーモデルを動かしたい場合はVer.5.22a(2010年6月現在)。
私は両方ダウンロードして、まず2.02でミクを試しに動かし、チュートリアルなどを軽くやってから、すぐに5.22aの方でモーショントレスをはじめてしまいました。

2.チュートリアルをやってみる

みくだんさんで、MMDチュートリアルをダウンロードできます。とりあえず、説明をよく読みながらミクを動かしてみましょう。
実際に自分で動かせる驚きを味わえます!音楽に合わせて、ミクがステップを踏んでくれます。


それと、こちらのブログも最初のうち、かなり参考にさせていただきました…!!
MikuMikuDanceで初心者チュートリアル|初音ミクで、mikumikudance
これらのチュートリアル記事の一番最初の方にある「ミクで腹筋」が一番最初に作った動作です(笑)


そんな感じで、ほんのちょっとミクを動かしてみただけで、私はすぐにモーショントレスの作業に移ってしまいました…
うまく出来なくても、無理矢理始めればそのうち出来るようになるだろ!という完璧な見切り発車。
最初は別の曲でやろうと思っていたのですが、やりたい曲の序盤にすぐ、初心者には到底作れそうにない難しそうなモーションがあったので、とりあえず一番最初の動きが割と単純な「渚のシンドバッド」でモーショントレス作業を開始することにしました。

3.モーショントレスの元となるaviファイルを準備する

MMDの画面の背景には、aviファイルを読み込むことが出来ます。

avi以外は読み込めませんので、それ以外の形式のファイルはavi形式に変換する必要があります。変換しても読み込めない場合がありますが…色々試してみてください。

渚のシンドバッド」には振り付け動画がありますが、モーショントレスをするためには、映像で見えてない部分がどうなっているかもわからないと作りにくいのが苦しいところ。上半身の動きは写っていても、そこで腰から下がどのような動きをしているのか、それが知りたいのに!とか、カメラが切り替わって写らなかった動作と動作の間のつなぎの動きはどうなっているのかわからん!ということも多々あります。
私はメインで一種類、わからないところがある時もう一種類、どうしてもわからない場合もう一種類、別の動画を3つ用意してトレス作業をしました。
地味に困るのは、ピンク・レディーの映像は昔のものだけに、決まったCD音源ではなく生演奏をバックに踊っているものが多いということ。
生演奏のものは大抵、CDの音源よりもテンポが少し早め。だからAの動画で見えない部分をBの動画を下敷きにしてトレスしてそれをAの方に持って来ると、微妙にずれるため微調整しないといけない…
そして、「渚のシンドバッド」は振り付けが時期によって違ったりもします。もうその辺はアバウトに、作れる範囲で作りました。


作業に入るにあたって、わからないことがあればVPVP Wikiへ。こちらが無ければ作業が立ち行かないほどの重要サイトさんです。お世話になっております。

4.モーショントレス作業/最初の壁「正面のみで失敗」


完全見切り発車、操作も未だ曖昧な状態で作業に入ります。

渚のシンドバッド」の映像をバックに映し(*この画像では何も映していません)、だいたい5フレームごとに動作を追っかけて、モデルの動きを付けていきます。

最初は腕(二の腕の部分)が上がっていれば腕のボーンを素直にグイッとあげる…とやってしまいがちですが、そうすると何か微妙に不自然なのは、肩から動かしていないから。パッと見で肘や腕しか動いていないようでも、実は肩が微妙に動いています。自分で腕を動かしてみるとよくわかると思います。

ボーンを動かすためには右下の6つ並んだXYZアイコンと、ショートカットキーXで表示されるボーン操作ハンドルの二種類がありますが、最初にこれを駆使して、肩のボーンを前、後ろ、横、などぐるぐる動かしてみることをおすすめします。肩を動かすだけで、どんなに腕から下が大きく動くか良くわかります。
腕の動きはとにかく肩から動かします。それ以外でも、なるべく体の中心に近いボーンから動かすのが鉄則。

しかし悲しいかな初心者です。MMDにさわってまだ数日。この時点ではそんなことは理解していないので、とにかく見た目が「一見」同じポーズになるように、ちょっとずつボーンを動かしました。


腕を上げ、波をかくように動かすモーション。
一見簡単な動作なので、初心者でもなんとなくそれっぽく出来ました。
MMD画面右下にある「再生」ボタンを押すと、ちゃんとバックに映る元にした動画と同じように動きます。
なーんかぎこちない気もするけど、やった!結構出来るじゃん!よーしこの調子でどんどん作っちゃうぞ!と鼻息荒くなるのも束の間。
MMDは、マウスを動かすだけでそのモデルをどんな角度からでも見ることが出来ます。正面、背面、右や左、斜め、真下、真上、どっからでも。
もとの映像の通りに正面から見た動きだけを参考に作っていた私ですが、ふとモデルを真横から見ると、あれ?今ちゃんと動いた!と思っていたモーションが、まるでキテレツな動きになっていたことに、しばらくしてからようやく気付きました…!!!
腕の角度が変!右腕と左腕の高さが揃ってない!ていうかあり得ない方向に曲がってる!(←よくある)おかしくないけどなんか人間の動きとして変!などなど…


しばらく作業をしてやっとそんな事実に気付き、一度作った動きも、何度もモデルの角度を変えてチェックしなければいけないことを理解しました。ああうううう。やーりなーおしーーー
同時に「これは途方もない作業だ…」と改めて気付かされ、やや気持ちが重くなります。
とは言え、「えーと、ここでは右腕が微妙に後ろに上がってるんだよね…?」とかぶつぶつ言いながら修正。

真横チェックをクリアして、何とか出来上がった一連のモーションを、もう一度正面から再生してみる…
おおおお、さっきより全然人間の動きっぽい!リアルに近づいた!!やったー!!!すごい!!MMDすごい!!!
少し前の重い疲労感はどこへやら、上手く動いた時の嬉しさがハンパない!この気持ちを糧に作業を重ねていった気がします。

だいたいこんな感じで少しずつ進んでいき、やっとある程度出来るようになったな…と思ったのはもう最後の方でしたね…だいたい一曲分で三段階くらい「理解した!そうだったのか!」という瞬間があったのですが、そうなると最初の方に作ったモーションのアラが見えてきて辛くなるという…その繰り返しでした。
でも一度作ったモーションはなかなか部分的に直すの、難しいんですよね…

5.モーショントレス作業/第二の壁「つま先IKと足IKと足首」

もう誰もがつまづく場所だと思いますが、つま先には本当に…苦労させられました…
未だに思い通りに動かせません。

MMDは、脚の動きをつけたい場合、膝を曲げたりすることによってではなく、足(かかとのあたり)の部分を上下左右その他に動かすことによって動作をつけるようになります。太もも・スネはそれに自動的についていきます。
実際やってみるとわかりますが、これがどうにも思うように動いてくれない…!!異様な方向に足首が曲がってしまったり、正面から見て普通でも真後ろから見ると盛大にズレていたりは日常茶飯事。

しかし、だからこそ上手く出来た時の喜びは格別ですが…!今回の「渚のシンドバッド」で言うと、序盤の「あーあ渚のシンドバッド」のあと、間奏でぴょんぴょん飛んで、行って戻って来るのの戻って来る方、右膝を上げて片足で飛んでいるモーション、あれはかなりきつかったですね…曲げた右脚、スネの部分がゆらゆら揺れている感じを出したかったのです…遠目で見るとそんなにおかしくないですが、アップで見ると… … …orz

つま先IKに関しては「最初はいじらない方がいい」と言われていますが、いつかはいじらなければいけない日が来ますので…もうこれは場数踏んで覚えるしかない気がする。未だにかなり苦手で、後半は手を抜くことを覚えたため処理が適当です(笑)動画後半で、つま先が写ってない部分は誤魔化しているのだと理解してください。実際、PVだとそんなにつま先まで映すことってないよね…と、カメラ付けていて思いました。

…とは言っても、最初は練習のためにちゃんと足先まできっちりモーション付けた方がいいよー!!
人様のMMD動画を見る時も、必ずつま先を注視してしまいます。キレイに出来てる方ほんとすごい!!腕の激しい細かい動きよりも、足下の細かいステップの方がよっぽど難しいです。

6.モーショントレス作業/第三の壁「肘の破綻」


モーションを続けて作っていくうちに、肘から手首の向きを細かくいじるにつれて、肘が大きくねじれ、モデルの肘の部分が欠けて描写されることがあります。


この動画で言うと、序盤の「アアアア」(なんて表現すればいいの…)のところ…参照元動画によって微妙に振りが違ったり、全身見えなかったりで、結局二回作り直したという苦労のたまものなんですが、腕を前に出したポーズのところ、良く見ると肘の部分がパックリ割れているのがわかると思います。

気付いてからも、「これって仕様?」「直すべきなの?仕方ないものなの?」とか随分悩んだのですが…出来のいいモーション動画ではほとんどこの肘の破綻が見られないので、やっぱり直した方がいいものだと結論しました。直すと自然になるし。
しかしこの部分は直そうとしてもどうにも直しきれなかったため、そのままです。

肘をその時の都合であっちこっちにひねり過ぎると、肘が欠けてくるのではっきりわかります。それをずーっと重ねていくと、次の動作で腕・肘を初期化(デフォルトの状態に戻すこと)した際、次の動きにつなげて見ると、ねじれた状態からソフトが自動的に初期状態に戻すので、一瞬で肘、手首がぐるっと一回転してしまったり…
実はこの動画でも冒頭の一番目立つところで、見事に肘(というか手首?)が一回転しています。アップしてから気付いたけどもう直す気力がなかった…

ですが完全にこの欠けを無くすのはかなり難しい気がします…一応気をつけて…ぐらいかな…
まめに腕ボーンと肘ボーンを初期化して、あらためてポーズを付け直していくしかないのか…うーん…まだ難しいですね。

7.リップシンクを付ける/MikuMikuVoice

モーションが出来上がってくると、やはりどうしても口パクを付けたくなります。
いちいち歌詞に口の動きを合わせるとか死ぬだろうが!という人のために「MikuMikuVoice」という素晴らしい代物があります。
これは、wavファイルから基本周波数・音量を抜き出してVOCALOID用のvsqファイルとして出力できるというツールなのですが、えー、要するに、MMD的には、歌詞を打ち込んで口パクデータを作れます。
上手く出来るかな〜とかなり不安だったのですが、やってみたら思ったより全然簡単に出来て驚きでした。
やっぱり口が動くとすごくそれっぽい…!!一気にテンションが盛り上がります!
私は1フレーズずつvsq出力しては読み込み、該当箇所にコピペ…を繰り返しました。MMVすごいよ…

8.二人分のモーションに仕上げる


ピンク・レディーの振り付けは二人とも同じ部分が多いので、まず青い方のキャラモデルを使って、基本になる全体の動きのモーションを作りました。

モーションがほぼ最後まで出来上がったところで、今まで画面のど真ん中で踊っていた青い人が、正面から見て少し右に移動した位置で踊ってくれるように「全ての親」というボーンの位置をずらしたモーションデータを作ります。もちろん、もう一人のために、左に移動させたデータも作ります。

最初のデータのままで緑の方のモデルを召喚し、同じモーションを読み込むと…二つのモデルが真ん中で重なって同じダンスを踊るという、とても異様な光景が繰り広げられることになります。

「全ての親」の位置を移動したそれぞれのモーションをモデルが読み込んだ状態。

ようやく二人並べられました。二人並ぶとピンク・レディーっぽくなって、盛り上がって参りました…!!

このあと、モーションは同じだけど体の向きが反転している部分などを、「反転ペースト」などを駆使して調整していきます。
それと、完全に同じモーションが同じタイミングで動いてるとなんとなく気持ち悪いので、緑の人の動きに微調整を加えます。青の人の基本モーションは、後から緑の人と多少の差を付けることを考え、かなり動きを柔らかめ、センターの上下も深め、腰の動きも大きめになっていますが、それをやや固め、浅めにします。腕の角度もやや開き目にしたり、かなり細かくつけてあるキーフレームを省略したり。

まあ、動画見てもほとんど区別つかない、ほぼ自己満足なんですけどね…

9.アクセサリ(ステージ)を読み込む

MMD用に、たくさんのアクセサリ(小物やステージなど)が配布されています。そのクオリティは素晴らしいものです。
作って配布してくださっている皆様に感謝しつつ、ステージを読み込むと…出来てきた!!出来てきた!!と興奮。

カッコいいいいいいいい!!!(*ステージとモデルが)

10.カメラワークを付ける

最終段階まで来ました。カメラで撮影です。ていうか本当にすごいよMMD。なんなの?このツールが無料とかなんなの?
ただひたすらにモーションを作るばかりで、この辺りはまったくいじっていなかったので、難しかったです…
あ、でも、難しいというのはカメラワークを考えるのが難しいのであって、操作自体は異常に簡単です!

なるべくアラの目立たない部分を撮影という志の低さ。
アップした動画をあらためて眺めると、右からのアングルが多すぎです!うーん、こっちから見たポーズのがかわいいのが多くてつい…右利きとかそういうの関係あるんだろうか…

ちなみに、2番も振り付けはほとんど同じだからモーション流用でfullも作れるのに、わざわざショートバージョンにしたのは、同じ振り付けを違う角度から撮影したらアラが目立つだろうが!という至極当然な理由からです。
なあに、モーション配布でもするってんじゃなきゃ、見えるとこだけそれなりに出来てりゃええんよ…!!


カメラ操作に関しては、こちらの動画がわかりやすく説明してくださっています。
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11.表情付け

本当はモーション作成の段階で付けてもいいのかもしれませんが、カメラワークでどこをアップにして撮影するか決めてからにしようと思って、最後までほぼ付けていなかった表情。ようやくここで。首の角度なども。

とは言っても、アップロードしてから気付いたんですが、このモデル達は目が小さいせいか、表情を付けても遠目だとほとんどわからない…な…
ミクだと目がデッカいので違うのかもしれませんね。

12.照明

すいません…適当です…orz 全然使いこなせてない…

13.avi出力、アップロード

「こんなもんかな?」と出来上がったら、aviファイルで出力し、mp4にエンコードします。ニコニコ動画にアップロードテストを繰り返して、「もう疲れた…これでいいや…」ってなったら、タグとか付けて、回線を切って寝る。どうせすぐタグ検索には反映されないし誰も見ないのでそれでいいんです。

完成です!!!!!\(^o^)/



終わりに


…ね?簡単でしょ?


作業自体はそれは、こだわろうとすればもの凄く時間がかかってしまうかもしれないし、根気も要ります。
しかし、好きなキャラクターを自分で動かせるという喜びは、なかなかほかでは味わえないものです。
MMDとは、モデルの手足やその他のボーンを動かし、その位置をこつこつ登録していけば、それだけで、モデルが動いてくれるものです。画面右下の再生ボタンを動かせば、すぐにでも動き出す姿が見られます。

自分のお気に入りのモデルを見つけ、MMD作者さんやモデルの作者さんに感謝しつつ、自由に踊ったり走ったり笑ったり、そんなところを見てみたいとは…思い…ませんか?


どうでもいい話:さっき試しに、渚のシンドバッドのモーションをデフォルトの初音ミク氏に踊らせてみたら…
す、スカートがひらひらするよう!かわいい!!!かわいいいいいいい!!ミニスカートかわいいですううう!!!
ってなった。「セクシー」のとこでは手を膝頭から上に移動するのに思い切りスカートめくれてパンツ見えたので、得した気持ちになりました。うーん、女の子モデルもいいなあ〜(^^)


MikuMikuDance でPさんと呼ばれる本

MikuMikuDance でPさんと呼ばれる本

前の記事でも紹介しましたが、これからMMDをはじめようという方にはマストな一冊。既にある程度知識のある方には必要ないかも…